さて、メールでのご質問がありましたので、
「ピアノの暗譜をどうやってしたらいいかわからない」というかたも、中にはいらっしゃるかもしれないと、良い機会なのでここに記そうと思います。

小さいころからピアノをやっていた人には関係のないことだと思いますし、同じように思われることと思いますが。


ピアノの暗譜の仕方。

ずばり、何百回も弾く!です(笑)

驚かれましたか? 以前、ピアニストさんともそういう話になった時に、どうやって暗譜していたっけ?と。
結局、特に10代までは「暗譜しなければいけない!」などと考えたことがありませんでした。

もちろん、先生には「来週は暗譜してくるように」といわれても、楽譜なしで弾いて「うろ覚え」な箇所何個かをチェックするくらい。
どうしてかな?そう、それまでに毎日毎日何時間か練習するわけで、そのときに「暗譜しよう」などとはつゆほども思っていず、とにかく練習ですよね?
いつのまにか、かなり弾きこなしています。ピアノに向かっていないときも、自分の引っかかるところは、ふと思い出したりしたりして。

一度だけ、舞台で頭が真っ白になったことがあります。
そのとき「あ~、この指が止まったらおしまいだ・・・」と。そのくらいピアノをやる人は弾きこんでいます。

過度の緊張という人もいますが、そういう人はおいておいて。

ただ大人になると、何百回弾かなくても、初見でかなり弾けますし、それを弾きこなすにも幼少~10代くらいのように時間はかかりませんので、そうなると「暗譜しなければ!」という場面が出てくることもあるでしょう。

そういう時はひたすら、弾いてみてつっかえるところをしっかり覚える。

そんな風ですよね。
参考になりましたか?

その他多数「なってません!」

といわれそうですが・・・。

音楽の専門家でない人が「暗譜をしているってすごい事」と思っている方が多いのと同じように「勢いのある激しい曲は静かな曲より難しい」と思っているのと同じくらいの誤解があります。

暗譜がピアノの目的ではないのです。

理由はともかく、晩年楽譜を見なければ弾けなかったリヒテルは、いかがでしたか?
「素晴らしい演奏」でしたよね。

タイトルからはずれますが、暗譜というのは大したことではないというこです。(ピアニストを目指す方は普通に出来てくるので大丈夫ですが)

そこに力を入れるならば、「そのスコアが何を表現していて、それをきちんと自分が表現できるか」に集中した方がよいですね。

過日、Poulencの曲のピアノ演奏をYouTubeで観ました。
プロの方のようですし、拍手もすごい。
しかし、客観的に拝見すれば、これが初演なら「プーランク、つまらない曲を書いたな」となりそうなものです。本当に演奏家によって曲は変わります。いかに、その曲をその曲らしく、また、作曲家の作品を伝えるか。皆様頑張ってください。
 
私のピアノの師匠は「お前がそこに感情を入れるのは、まだまだ早すぎる。(いや、もちろん小学生ですので、もっともです・・はい)すべては楽譜に書いてある。その通りに弾けばよい」と言ったものです。とても深い言葉でいまだに心に残っています。